#3 障がい者のスポーツの普及と振興をめざして

公開開始日:2016年09月28日

「障がい者スポーツ」とは

近年、2020年に東京でのオリンピック・パラリンピックの開催の決定を受け、「障がい者スポーツ」という言葉を聞く機会が増えたかと思います。「障がい者スポーツ」というと、障がい者のために考案された独自のスポーツを想像されるかもしれません。しかし多くは、いわゆる一般のスポーツの方法や場面をそのまま適用することが「困難である」「危険である」「障がいを悪化させるおそれがある」などにより、競技規則や用具を一部変更し、改良することで、安全に楽しくかつ公平に競技を行うことを広く「障がい者スポーツ」と呼んでいます。

そのため、「障がい者スポーツ」のことを、アダプテッド・スポーツ(adapted sports、合わせたスポーツ)とも、パラレル(平行)からパラスポーツ(para-sports、もう一つのスポーツ)とも呼ばれています。
競技を行う際は、公平に競うため、全国障がい者スポーツ大会では「障がい区分」(手帳障がい名による)、国際大会では「クラス分け」(身体機能・技術評価と競技観察による)があります。

一般的なスポーツでの規則・用具の変更について、いくつかご紹介します。

車椅子バスケットボール
車椅子バスケットボール

 コート、ゴール、ボールも一般と同じです。
各チームの公平を期すため、障がいの程度により選手の持ち点(1.0から4.5点)を定め、コート内の5人の選手の持ち点合計が14点以下(重度者の方が持ち点は低い)になるようにします。
使用する車いすには規定があり、ボールを持って3回以上プッシュ(車輪をこぐ)すると、トラベリングになります。

 

水泳(視覚障がい)
水泳

ゴール時とターン時の危険防止のため、「合図棒」を使用します。

 

陸上トラック競技
陸上トラック競技

 競技用車いす(レーサー)を使用します。                                   

 

「障がい者スポーツ指導員」と役割

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会では、国内の障がい者スポーツの普及と発展を目指して、指導者の資格制度を定め、環境を整備する上で専門的な知識・技術を有する人材の育成、資質向上を目指しています。
公認資格は、「障がい者スポーツ指導員」、「障がい者スポーツコーチ」、「障がい者スポーツ医」、「障がい者スポーツトレーナー」とありますが、県内の公認指導者の多くは、「障がい者スポーツ指導員」です。障がい者スポーツ指導員には、初級、中級、上級の制度があり、障がいの理解や障がい者スポーツの理解等を受講し登録すると「公認」指導員となります。

以下のとおり、資格の種別は異なりますが、役割の違いを問わず、皆さんが指導員として現場での活動に携わっています。

【1】初級
  • 地域で活動する指導者で主に初めてスポーツに参加する障がい者に対し、スポーツの喜びや楽しさを重視したスポーツの導入を支援する者。
  • 全国で約18,000名、県内では約300名が活動しています。
【2】 中級
  • 地域における障がい者スポーツのリーダーとしての役割を持ち、指導現場で充分な知識・技術と経験に基づいた指導ができる者。
  • 全国で約3,000名、県内で約40名が活動しています。
【3】 上級
  • 県レベルのリーダーとして、指導現場では障がい者スポーツの高度な専門的知識を有し、指導技術と豊富な経験に基づいた指導と指導員をとりまとめる指導的立場になる者。
  • 全国で約750名、県内で約10名が活動しています。

「障がい者スポーツ指導員」と活動内容

障がい者スポーツも一般のスポーツと同じく、競技性の高いものもあれば、楽しむことに主眼を置いたものもあります。目的や障がいの特性(発症時期を含む)により異なりますが、まずは外へ出ること、そして体を動かしながら、やりたいことを探すお手伝いができるよう活動しています。障がい者スポーツを始めるにあたり、指導者がエキスパートである必要はありません。幅広いニーズに対応するためには、多くの情報や人脈が必要になります。

現在、スポーツへの導入として、地域のクラブと協同してレクリエーション・スポーツに取り組んでいます。多種多様なレク種目の中から、力が弱い・力の調節が難しい・しゃがむことができない・難しいルールは理解できないなど個人に合わせ、できることを一緒に探したり、ルールや用具を変更したりします。継続には「楽しい」「成功」体験を大切にし、終わるタイミングも大切です。また、家族との連携も必要になります。

活動をいくつかご紹介します。

  • 県障害者スポーツ大会での視覚障がい者の音源走やスラロームの審判
スタート:方向の確認 スタート:方向の確認
フィニッシュ地点で音源 フィニッシュ地点で音源
タイムレース 電動車いすで、白(前進)赤(後進)の旗門を規定通り通過するタイムレース

 

  • 県大会での選手誘導・競技補助
  • 全国障害者スポーツ大会へ県選手団介助員として参加
  • 吉備高原ふれあいロードレースに走路安全係として協力
  • 研修会・講習会への参加   等々

今後の障がい者スポーツ指導員の活動について

スポーツ基本法の基本理念である「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」ことに鑑み、一人でも多くの障がい者の方々が地域や社会で活動できるよう一助となる活動ができればと思っています。そのためには、知識を高めるための研修会や技術向上に努め、安全に指導できるよう頑張って行きたいと思います。

研修会

しかしながら、障がい者の方がスポーツをするためには、活動の場や指導員の人数が十分とはいえないこと。そして、移動や競技(伴走)面での支援が必要である、などの課題があります。

このコラムをご覧になられた皆様には、パラスポーツにも興味をもっていただき、スポーツ現場(大会やスポーツ教室)に参加いただき、一緒に楽しんでいただきたいと思っています。県内で指導員の養成講習会も行っていますので、身近なところから一緒に障がい者のスポーツの普及・振興を行っていきましょう!!

障がい者スポーツの情報は「岡山県障害者スポーツ協会」「日本障がい者スポーツ協会」のホームページをご覧ください。

泉水 弘美(せんすい ひろみ)

公認上級障がい者スポーツ指導員
岡山県障害者スポーツ指導者連絡協議会副会長

理学療法士として身体障害者更生援護施設で回復期のリハビリテーションに従事していた頃、機能回復訓練等では得られない動きをレクリエーションスポーツで獲得することができることから、障がい者スポーツに関心を持つ。 その後、岡山県身体障害者体育大会の大会運営等に携わったことを契機に、身体障がい者スポーツ指導員の資格を取得し、以後、研修や実務を経て岡山県で第1号の上級障がい者スポーツ指導員となる。 これまでに「岡山県障害者スポーツ指導者連絡協議会」・「岡山県障害者フライングディスク協会」の設立や、「輝いて!おかやま大会」の開催に携わっており、現在も指導員として、スポーツ教室の開催、大会の運営、研修会の計画を行うなど、障がい者スポーツの普及・振興活動を行っている。



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