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その15【育ちあえる協働を】

更新日:2017年08月10日

「つながる!協働リレーコラム」では、岡山で活躍するNPO法人の皆さんに、自分たちの活動や経験を通じて、「協働」に関して感じていること・考えていることについてコラムでご紹介いただきます。
※なお、内容は執筆当時のものです。

NPO法人子どもシェルターモモ 副理事長 西﨑宏美さん

プロフィール

1944年5月生まれ。1969年、テレビが全戸に普及し、子どもたちが戸外で集団で遊ぶ姿が見えなくなる中、「『体験』を通じて心豊かに育ってほしい」との願いで「岡山子ども劇場」の設立に関わる。1971年に岡山子ども劇場事務局長、1995年に全国子ども劇場おやこ劇場連絡会事務局長を歴任。2001年に、「子どもたちの状況は私たちが望んでいることとはどんどんかけ離れている。おとなの思いこみではなく、子どもたちの現実を知ろう」と、「チャイルドラインおかやま」を開設し、代表に就任。2008年、特定非営利活動法人子どもシェルターモモの設立にかかわり、副理事長に。15歳から20歳(大学生を含む)までの「帰る家(家庭)のない」子どもたちの緊急避難先としての子どもシェルターと、自立(独り立ち)するまでの生活支援を行う自立援助ホームの運営に携わり、2012年から同法人の専務理事に就任し現在に至る。


子ども劇場、チャイルドライン、子どもシェルターモモで、子どもたちとともに育ちあってきました。日々学びあうこと、それが協働なのかもしれませんね。

NPO法人子どもシェルターモモ副理事長の西﨑宏美さん

 

子どものセーフティーネット、NPO法人子どもシェルターモモとは?

NPO法人子どもシェルターモモ(以下、シェルターモモ)は、虐待等の理由で、家庭や児童養護施設等で暮らすことのできない15歳から20歳までの子どもたちに、緊急避難先と共同生活の場を提供し、子どもたちの自立を支援することを目的に2008年に設立しました。弁護士や児童福祉関係者が理事に就任して運営しています。
子どもたちの一時保護先としては児童相談所がありますが、一時保護できるのは17歳までです。また、家庭で暮らせない子どもたちは、通学していれば18歳まで児童養護施設で暮らすことができますが、中学を卒業して働く子どもや、高校を中退した子どもは退所を余儀なくされます。これは児童相談所や児童養護施設の問題ではなく、法律でそう定められているからです。こうした法律の隙間で困難を抱えている子どもたちのセーフティーネットの役割を果たしたいと活動しています。

矢印NPO法人子どもシェルターモモ(団体検索サイト)
矢印NPO法人子どもシェルターモモ(別サイト)

岡山で子どもシェルターができたのは・・・

岡山での「子どもシェルター」開設は、東京、横浜、名古屋に次いで全国で4番目。また自立援助ホームは岡山県内では初めての設立でした。2008年4月に、弁護士会の子どもの権利委員会が呼びかけ、法律の隙間にある子どもたちの問題についての学習会が開かれました。児童養護施設の元職員、里親、子どもに関わる市民活動をしている方等、たくさんの方が集まり、子どもシェルターの必要性が熱く語られ、その場で「岡山でもつくりましょう!」と意見が出されたのです。

福祉の現場で働く方も、子どもの権利擁護に関わる方も、様々な立場の方々がその必要性をすでに感じていたのです。そしてこの学習会を契機に、皆さんの協働で子どもシェルターを開設することになりました。それまでにも、子どもの権利に熱心な弁護士さんが、不登校の子どもの姿を描いた映画「あかね色の空を見たよ」の製作実行委員会に参加していたり、子どものSOSを受け止める「チャイルドラインおかやま」を開設していたりと、子どもの権利を守る幅広い市民活動の経験が岡山にあったということが、シェルターモモ設立の原動力になったのかもしれません。


自分自身の「子ども観」がきたえられる日々

様々な専門家の方々との協働でスタートしたシェルターモモですが、子どもたちと過ごす日々は毎日が葛藤です。
おとなに裏切られ続けてきた子どもたちが多く、子どもたちの発する言葉や行動の裏に隠れている思いや理由を考えることなしに、指導的に接すると、途端に心を閉ざしてしまいます。

「子どもの心に寄り添う」ためには、私たち、おとなの感性や人権意識が常に試されます。「子どもの自立を支える」というミッションを共有している役員や職員の間でも、対応や考え方が対立することもありました。毎日、自分自身の「子ども観」が試され、鍛えられるのです。協働で運営するシェルターモモだからこそ、学びあいと支えあいはどうしても必要なのだと感じています。


児童養護施設等から社会に出ていく子どもたちを支えるために

シェルターモモでは、これまでに103名の子どもたち(シェルター53名、自立援助ホーム男子30名・女子20名)を受け入れてきました。
虐待のトラウマを抱え、学歴、資格、財力がなく、乏しい社会経験に加えて、頼るおとなのいない子どもたちがホームを出て社会で独り暮らしを始めると、様々な困難を抱え込んでしまいます。そこで退所後も彼らを支え続けることが必要だと考え、シェルターモモでは2010年からアフターフォローの活動を始めました。

入居支援、就労支援、生活支援、資格取得支援、居場所の提供等を行っていくためには、各分野の専門の方々と連携・協働することがどうしても必要となりました。また子どもたちの「困った」との声は、児童養護施設等を退所した子どもたち皆が抱える困難ではないかと思い至りました。そんな気づきを持っていた時、NPO法人杜の家ワーキングチームによる、岡山市市民協働推進モデル事業「施設児童退所支援のための実態調査」と出会い、「思いは同じ!」「協働しましょう!」ということになりました。
実態調査では、施設を出た後の子どもたちが何につまづき、何に困ったのかを具体的に把握し、施設を出る前に学んでおくべき課題を子どもたちの目線で明確にすることができました。


市民協働推進モデル事業

講座の様子
講座の様子

2014年度市民協働推進モデル事業として、NPO法人杜の家ワーキングチームと岡山市こども企画総務課、岡山市こども総合相談所と協働し、施設退所前「学び講座」を開講しました。岡山市内の5つの児童養護施設すべてと市外の2つの施設から、のべ124名が参加しました。

講座の資料の一部講座で使われた資料の一部


そして、2015年度の市民協働推進モデル事業では講座とセットで、「アフターケア事業」に取り組んでいます。2014年10月からは民間助成金により、相談窓口として「アフターケア相談所en(えん)」を先行的に設置することができ、動き始めていたことで市民協働推進モデル事業の実施にもスムーズにつなげていくことができました。
また、あわせて2014年度から関係機関、NPO、企業家、研究者をメンバーに「児童養護施設等退所児童アフターケア委員会」を立ち上げ、児童養護施設退所後の「アフターケア事業」の現状や課題を共有する場をつくってアフターケア事業を岡山市の施策としていくことも話し合ってきました。


日々の協働の積み重ね

これまで岡山市では、NPOによる市民活動が行政のパートナーとして政策に位置づけられることは、ごく一部を除きほとんどなかったのではないでしょうか。だからこそ、ある意味、「行政をあてにすることなく皆の協働でなんとかしよう」といろんな市民活動が生まれ成長してきました。その中から行政に対しては、「要望」や「陳情」で働きかけるというのがこれまでの形だったと思います。

しかし、これからの協働は市民も提案し役割を果たすとともに、行政と一緒に考え動くことが必要なのではないでしょうか。1年目の市民協働推進モデル事業で現状が把握され、2年目の実践で解決の方向が試され、3年目の今年は市の施策を想定して実践しています。3年間行政と一緒に考えていくことができたことで、制度化への動きも生み出されています。
大切なのは、補助金や助成金が出されるということだけでなく、その目的・ミッションの共有です。私たちの日々の協働の中でも、ミッションや子ども観の育ちあいが必要なように、行政と市民団体との間でも、ミッションや子ども観を学びあい、鍛えあいながら共有の幅を広げていくことが必要だと思います。



つながる協働ひろば動画チャンネル

つながる協働ひろば動画チャンネルでは、「児童養護施設から社会へ」をテーマにNPO法人子どもシェルターモモの活動を動画で紹介しているよ!こちらもぜひチェックしてみてね!

2ティア(右)

 

 

次は、NPO法人マザーリーフの光岡亜希子さんのコラムだよ!お楽しみに!

のっぷ




 

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