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自閉症等に関連するお勧め本☆パート2

公開開始日:2019年02月28日

「NPO法人岡山県自閉症児を育てる会」の会報では、
自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の本を掲載しています。

今回も、個人的におすすめ度の高いものを抜粋してご紹介しますkirari

あくまでも個人的な感想なので、参考程度に読んで頂けると有難いです!

 

支援・指導のむずかしい子を支える魔法の言葉

小栗 正幸:著  講談社 定価:1300円 + 税 (2017.11)

支援指導のむずかしい子を支える魔法の言葉

 

来年、平成31年3月23日(土)に育てる会で講演をお願いしている小栗正幸先生の著書です。


先日の会報245号で『発達障害児の思春期と二次障害予防のシナリオ』も紹介させていただいたのですが、本書は講談社の「健康ライブラリー イラスト版」のシリーズの1冊ですので、とてもわかりやすく、またすぐに今日からでも役に立つ1冊となっています。ただし、本書の場合は、発達障害だけにとどまらず、支援・指導のむずかしい子全般に焦点をあてたアドバイス集となっています。


もっとも小栗先生がコラムで、『「むずかしい子」への対応は、「普通の子」にも有効』と書かれているように、発達障害をもたないきょうだい児の子育てにも活かせると思いますので、広くお薦めさせていただきます。

 

子ども自身のタイプと、「メタ認知」を妨げる要因とは?

これまで、自閉症児の子育てにおいては、環境を本人に分かりやすく整え、コミュニケーションもお互いが分かる形で伝え合い、本人の特性を配慮して強みを伸ばしていくというTEACCHプログラムなどを基本とした療育をお勧めしてきました。

いわば、予防的に、二次障害や問題行動に陥らせないという方法です。もちろんそれでうまくいけば、それに越したことはないと思うのですが、周りがいくら気をつけていても引きこもりや不登校になってしまったり、暴言・暴力など加害行動を起こしてしまうケースもあると思います。
そんな時、彼らや彼女たちを抜け出させるための「魔法の言葉」集です。


よく聞く言葉に、「問題行動が起こったとき、本当に困っているのは、教師や保護者ではなく、本人です」というのがあります。中には「困り感」という表現まであります。思わず納得してしまう言葉ですが、これまで宮川医療少年院の院長など、問題行動を起こしてしまった本人の支援にあたられてきた小栗先生によると、少し違ってきます。

 

子どもは段階をふみながら徐々に育っていきます。周囲を困らせ続ける子どもは、成長していく過程のどこかでつまずき、育ちに「ゆがみ」がみられる子でもあります。
しかし、育ちの過程の途中にいる子どもには、柔軟性があります。周囲を困らせるふるまいがあれば、その都度、周りの大人が適切な対応をしていくことで、育てのゆがみは修正され、望ましい方向へと進んでいける可能性が高まります。

 

とくに子ども自身が、目の前の状況に「困っている」場合には、支援・指導を素直に受け入れ、行動は変わっていくと期待できます。


問題は、子ども自身が「とくに困っていない」という場合です。ただ、タイプが違う以上、支援のしかたは違って当然です。同じような対応で、同じ反応が返ってくるものと期待すること自体が、無理な話なのです。

 

つまり、子ども自身が「何とかしたい」と「困っている子」ならいろいろ対応する方法もあるのですが、問題はうまくいかない状況があっても、本人が「困っている」と思っていない子には、これまで常識と考えている支援が通用しない、むしろ逆効果になることさえあるということです。

 

たとえば、間違っていることに「こんなふうにも考えられるよね?」「イヤ、そうかな?」というふうに教え正しい道に導こうとする反論や説諭では、本人は攻撃された、否定されたと反発して暴言・暴力をエスカレートさせてしまうこともあります。また、子どもの気持ちを受け止めて「それは苦しいね」「なるほどね」とかじっくり耳を傾ける傾聴や受容の方法では、やっぱり私はだめなんだと余計に落ち込ませてしまうこともあるそうです。


もちろん、説諭や受容は「困っている子」には有効な方法の一つなので、要は相手の見極めですね。

 

小栗先生は支援が難しい子には、大きな視点から自分を客観的に見る「メタ認知」が育っていないのではと考えられています。「あなた」と「私」が捉える世界は違っていることの理解が難しいということです。そしてその要因として考えられるのは、発達障害、失敗体験、虐待の3つに大別され、その3つの要因が重なって複雑に絡み合うことも少なくないそうです。


そう考えてみると、私たちの子どもはみんな発達障害を持っており、虐待はないにしろ、成功体験を積み重ねることが難しい一面もあるので、間違いなく本書の「支援・指導のむずかしい子」に該当してしまうかもしれませんね。

 

「魔法の言葉」と「呪いの言葉」


さて、ここからが本題の「魔法の言葉」の紹介や使い方にはいっていくのですが、まず、魔法の言葉の基本は、「的外し」(的外れではありません!)と「肯定」のフィードバックだそうです。

  • 的外しの魔法:訴えの内容から、あえて少し的を外したフィードバックをおこなうと、話し合えるポイントが見出しやすくなる
  • 肯定の魔法:頭ごなしに否定しない。受け止めるだけでなく、肯定できる点を見つけて、ポジティブなフィードバックをくり返すうちに、子どもが発信する内容は変わってくる
     

また各ページには、「魔法の言葉」と対比して、子どもたちをより悪い状態に追い込んでしまうかもしれない「呪いの言葉」についてもイラスト付きで載っています。その中には、私たちが普段つい使ってしまいがちな言葉も多いです。要注意ですね。

 

たとえば、暴言・暴力が多い子への「気づき」を促す魔法「がまんしていることが多いよね」に関する、「呪いの言葉」と「魔法の言葉」の例です。

 

  • 反抗的な態度を誘う 呪いの言葉あ
    「そういう口のきき方はないだろう」
    「なんだ、その態度は!」「いい加減にしなさい」
    「そういうことを言ってはダメ!」

  • 気づきを促す 魔法の言葉

  「(悪態をつかれたら)また心にもないことを!」
  「ねえ、あなたはふだん、がまんしていることが多いように私には見えるのだけど、違うかな?」
  「そういうときは、大声を出したりする前に、私にこっそり教えてよ?」

 

本書には、他にも加害行為に対する毅然とした対処法や、「非行のある子の保護者」や「愛情がもてないという保護者」「クレーム多い保護者」などへの魔法の言葉も載っていますので、先生方にもお勧め一冊だと思います。


本書を読んで、ますます来年の小栗先生の講演会が楽しみになりました。

 

お問い合わせ

NPO法人岡山県自閉症児を育てる会

〒709-0826 岡山県赤磐市和田194-1

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