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自閉症等に関連するお勧め本☆パート1

公開開始日:2019年02月25日

「NPO法人岡山県自閉症児を育てる会」の会報では、
自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の本を掲載しています。

今回は、その中でも個人的におすすめ度の高いものを抜粋したご紹介ですkirari

あくまでも個人的な感想なので、参考程度に読んで頂けると有難いです!

 

 

自閉スペクトラム症の理解と支援

表紙

本田 秀夫:著  星和書店  定価:1800円+税 (2017.12) 

 

「子どもから大人までの 発達障害の臨床経験から」と副題にあるように、著者の本田秀夫先生は児童精神科医として横浜市で発達障害児の早期発見・早期療育とその後のフォローアップを20年以上も続けられ、その後は山梨や長野県で、今度は二次障害が発生した後から診断に訪れた人の臨床にあたられてきました。

つまり、支援を受けながら成長した自閉スペクトラム症者を縦断的に診断に当たられた経験と、あまり支援を受けないで二次障害を起こした人たちを横断的に診断するという臨床経験を積まれてこられた先生です。
 

その本田先生、自閉スペクトラム(AS)と自閉スペクトラム症(ASD)との関係について分類・解説されています。


つまりASの中には、ASとしての特性を持ちながらも社会の中で自分の居場所を作ってそれなりに普通に暮らしている「非障害自閉スペクトラム」の人がたくさんいる一方で、中核的ないわゆる狭義のASD群以外にも、成人期に初めて診断されるような「併存群」と呼ぶべき一群がいると言われています。もちろんその中の一部は、本来のASD群だと言えると思いますが、それ以外の人は「非障害自閉スペクトラム」と同程度のASの特性を持ちながら、二次障害を起こすか起こさないかで区分されるということになります。

 

自閉スペクトラム症の育ち方

さあ、ここからが、いかに二次障害を起こさせないで子育てしていくか、という親や支援者の課題に入っていきます。
本田先生は、経験から自閉スペクトラム症の育ち方(育て方)を4つのタイプに分類しておられます。

 

1.特性特異的教育タイプ

これは個々の発達特性に応じて必要な課題を適切に与えられて育っているタイプです。本人が興味をもって取り組める手法をちゃんと与えられています。そして、少しの努力で短期間に達成可能な目標を設定してもらい、それをクリアすることによって達成感を得るということをこまめに繰り返しています。また、他の人に気軽に相談できる環境も提供されています。
このような特性特異的教育タイプの環境で育った人は、真面目で安定した性格になりますし、得意領域がきちんと伸びます。

 

2.放任タイプ

放任タイプは、発達特性に対する理解が全く得られないという環境です。通常良しとされる子育て・教育環境は、自閉スペクトラムの子にとって、必ずしも恵まれた環境とは言えません。一般の子どもにはそれでよくても、変異である自閉スペクトラムの子には、それは適切ではないということがあるわけです。
このような放任タイプの環境で育った人は、不安が強く、他の人への猜疑心が強くなります。情緒不安定で、他罰的、攻撃的になります。さまざまな精神症状が併発しやすくなりますし、将来について無関心で、見通しが持てなくなります。

 

3.過剰訓練タイプ

過剰訓練タイプは、発達特性があるということに、親をはじめとした周りの人たちが気づいているにもかかわらず、その存在を否定して、本人が苦手なことを克服させるために過重な課題を与え続けるという環境です。逆に、本人が好きなことや得意なことはあまり認めません。
このような過剰訓練タイプの環境で育った人というのは、大人になるとストレスがかかることをことさらに避けるようになりますし、無気力、無関心になります。

 

4.自主性過尊重タイプ

これは、支援者が本人のストレスを軽減することだけを重視するという環境です。自閉スペクトラムの子は得意な能力もあったりしますので、得意な能力を伸ばそうという発想があるのはいいことなのですが、苦手なことは一切やらないでいるとこのタイプになります。
このような自主性過尊重タイプの環境で育った人は、好きなこと以外はまったくやりません。仕事も「やってやる」という傲慢な態度が身についてしまいます。

 

みなさん、いかがでしょう。二次障害を防ぐためには、特性特異的教育タイプが良いことは当然お分かりのことと思いますが、ともすれば過剰訓練タイプになってしまったり、本人の選択だけを優先した自主性過尊重タイプに流されそうになってしまうこともあるかもしれません。すべてに「~~タイプの環境で育った人は・・・」とあるように、どのような環境を作るのかは周りの大人たちの役割ですね。


また、マスコミを騒がす事件の背景には、放任タイプの環境で、小さい頃から適切な支援を受けられなくて二次障害を発生させてしまった親や支援者の責任であるようにも思えます。

それを防ぐには、やはり本田先生が横浜で実践してきたような早期発見・早期療育が欠かせないと思います。

でも、その早期発見にはリスクがあることも述べられています。

 

早期発見の大切さ

自閉スペクトラム症は、何といっても早期発見が極めて大切です。その意義としては、家族に適切な目標設定ができれば、本人のメンタルヘルスを守りつつ、社会参加を促せるということが挙げられます。それによって、家族のメンタルヘルスも守られることになります。


一方、リスクとしては、家族が早くに子どもの問題に気づくことによって、もし過剰な訓練を助長するようなことがあると、本人に二次的な精神的変調を誘発する恐れがあります。また、それによって、家族のメンタルヘルス自身も悪化する恐れがあります。したがって、早期発見をするときには、どのような方針で早期発見を行って、家族に支援をしていくかという方向づけが非常に重要になってきます。

 

つまり、早期発見は、それ単独ではリスクがあるため、その告知は適切な早期療育、そして家族支援があることを前提としたものでなくてはいけないということですね。
私たちの会でも、そのために特性に応じた早期療育の場を作り、都合で療育に通えない方のためには親の会として、同じ仲間の会として支えていきたいと思っています。

 

他にも、本書では、先生の長年の経験からの「こだわり」保存の法則や、感情の特徴、記憶の特徴など、興味深い知見がたくさんあります。


例えば感情の特徴

感情の特徴として、予定調和をこよなく愛するということがあります。これは当然、こだわるということの裏返しになります。自分の中で決めていた予定がその通りに進むということに最も満足を覚えます。反面、想定外の事態によって感情が激しく揺さぶられます。

 

これなど、みなさん頷くことが多いのではないでしょうか。

 

また、講義のDVDも付録でついていますので、活字がちょっと苦手という方にもお勧めの一冊となっています。

このDVD、本書の内容をほぼその通りに解説していただいています。そのため、時間も4時間以上という長丁場ですが、本書をレジュメとして使えるので、実際の講演を聴いているような臨場感・・・途中、言い間違えた訂正などもそのまま入っていますのので、思わずクスッとするようなDVDに仕上がっています。

この付録のDVDだけでも、十分コストパフォーマンスに値する一冊だと思います (^^♪

お問い合わせ

NPO法人岡山県自閉症児を育てる会

〒709-0826 岡山県赤磐市和田194-1

TEL:086-955-6758

FAX:086-955-6748

メール:acz60070@syd.odn.ne.jp

HP: http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/sodaterukai.htm