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#07 ゲゲゲの子育て

公開開始日:2012年08月13日

 

きかせてぽっけ

このコーナーでは、子育てに関するいろいろなアドバイスや経験談をご紹介しています。
専門家や子育ての先輩たちの声をきいて、明るく、楽しく、子育てしましょう。
みんながあなたを応援していますよ!

臨床心理士(旭川荘顧問) 松尾 冀

ドラマのひと場面を振り返って         

NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」にこんな場面がありました。
寝かせていた赤ちゃんが泣き出した時、夫が「オイ、泣いてるぞ」と目で合図を送ると、それに対して女房が「泣いたからといって抱いたりミルクをやってはいけないと、アメリカ帰りのお医者さんに教えられたよ。」と誇らしげに説明するのです。
しかし、そう言いながらも、なかなか泣きやまないわが子が気になる女房は、「まっ、いいか!」と赤ちゃんを抱き上げて、夫妻で顔を見合わせニコッとほほえみ合うという場面です。
 

お乳の出る金網製の母ザル?お乳の出ない布製の母ザル?

このテレビドラマの背景となる1960年(昭和35年)頃には、アメリカの心理学者ハリー・ハーロウが子ザルを使って実験をしています。
例えば、おなかをすかせた子ザルが、お乳の出る金網製の母ザルとお乳の出ない布製の母ザルのどちらに抱きつくか、という実験がありました。皆さんはどちらに抱きつくと思われますか?

子ザルは、ミルクの出ない布製の母ザルにしがみついて、おなかがすいてがまんできなくなると、そのまま口だけを金網製の母ザルが持っている哺乳びんにつき出したのです。
子ザルは、何よりまず、「ぬくもりとやわらかさ」を求めたのですね。
 

親としての自然な気持ちで子育て

家族のイラストハーロウの実験結果をうけて、今では、ゲゲゲの女房の時代のような「泣いても抱かない」「ミルクは決まった時間に決まった量を与える」といった考え方は陰をひそめ、逆に「しっかり抱っこして、あやしながらミルクを与える」という考え方が常識になっています。

ゲゲゲの女房は、こうした実験の存在すら知らなかったはずなのに、先進的な医師の教えにとらわれず、20年後には「常識」となる子育てを選択したのです。

私たちのまわりには、色んな「育児に対する考え方」があふれています。
私たちはこれらを参考にしながらも、決してそれにこだわって振りまわされることなく、親としての自然な気持ちを大切にした子育てをしていけば良いのではないでしょうか。
ゲゲゲの家族は、私たちにそう教えてくれたように思います。 

 

松尾 冀(まつお のぞむ)

松尾 冀(まつお のぞむ)様昭和21年、倉敷市生まれ。神戸大学教育学部卒。
心理判定員として、昭和44年より岡山県内の児童相談所で児童福祉業務に携わったのち、平成18年より岡山短期大学幼児教育学科の教授に就任。
平成23年より、岡山県教育庁生徒指導推進室学級サポートリーダーや、社会福祉法人旭川荘の旭川児童院の顧問心理判定員も務める。
また臨床心理士として、NPO法人おかやま児童虐待事例研究会の代表世話人や、学校法人旭川荘の評議員を務める。

矢印主な著書

『児童虐待おかやまから116人の提言』『児童家庭福祉~児童虐待の現状と子育て支援体制~』『家族援助論~虐待のある家庭への援助~』『社会的養護論』『子どもの精神保健~被虐待児の心のケアー~』

 

 

 

 

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