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「ESD岡山アワード2018 奨励賞受賞事業」 就実・森の学校の活動紹介

公開開始日:2019年01月09日

「就実・森の学校」とは?

「就実・森の学校」は、里山の再生と歴史文化遺産の保全を目的として、2010年に発足した団体で、学びの場でもあります。岡山市中区に広がる笠井山の東端には、「学校法人 就実学園」が保有する約10haの山林がありますが、就実・森の学校ではこの竹林を中心とした山林の整備と、校地内に残る古墳を教育に生かす計画を実行し、地域に還元できる里山づくりを目指して活動を続けてきました。

さらに周辺地域と防災協定を結び、南海トラフ巨大地震が起こった際の避難対策を里山で行うプロジェクトも実施しています。この活動が注目され、「ESD岡山アワード2018」にて「奨励賞」を受賞しました。

今回は、活動拠点である森の学校で行われた「第4回とみやまジュニア防災講座」を通じ、里山を活用した防災への取組を紹介します。

2018年12月8日(土曜)に開催された防災講座の様子をレポートするよ!

ESDマン

 

第4回とみやまジュニア防災講座

この日行われたのは、避難地となる森の学校をメイン会場にした富山学区の合同避難訓練。防災協定を結んでいる岡山市立富山中学校の生徒や教職員をはじめ、海吉本村町内会や海吉中村町内会、就実大学の学生など、総勢約150名もの参加者が集まりました。

南海トラフ巨大地震の発生を想定し、避難経路を確認しながら森の学校まで向かう避難訓練を実施。到着後は、災害時の生活持続のために役立つ火おこしや炊き出しなどの避難生活を体験しました。

避難経路を確認

朝8時30分、参加者が続々と富山中学校に集合。就実・森の学校の代表を務める石田さんが避難の流れを説明した後、緊急地震速報を流し、避難訓練を開始しました。

約1.8kmの避難経路をグループごとに2列縦隊で歩いて移動。経路には坂道が多いものの、予定の1時間よりも早く全員が森の学校へ到着しました。坂を上がるのが困難な避難者用のリヤカーが用意され、中学生が引いて運ぶ体験も行われました。

リヤカーを引く体験
中学生がリヤカーを引く
就実・森の学校に集合
約30分で避難完了

 

備蓄用の竹炭を使って火おこし

森の学校では、里山で伐採した竹を備蓄用の竹炭として資源化しています。今回は竹炭作りと火おこしを体験。町内会の参加者が学生に火のおこし方を指導しました。中学生のなかには、マッチを使うのが初体験の子も。炭火は、電気やガスが使えない避難場所での調理や、暖を取るためのエネルギー源として有効です。

火をつける様子
竹炭作り体験
火おこしの様子
火がついたらうちわで風を送る

 

新聞紙で器作り

テントの下では、新聞紙をトレイ状に折って上からビニール袋をかぶせる手作り食器を作成。食器が割れて使えない、水が出ず洗えない時に役立ちます。

皿作り
新聞紙を折って緊急用の食器に
新聞紙の皿
できた皿にはカレーを入れる

 

ご飯のパッククッキング&カレーの炊き出し

水と米を入れたビニール袋を熱湯に入れて炊き込み、約30分で炊飯できるパッククッキングを実践。町内会婦人部の方々が用意したカレーを、中学生が参加者一人ひとりに配膳します。災害時の調理法や炊き出しについて学ぶことができました。

パッククッキングの様子
米を測ってビニールに小分け
カレー提供の様子
キーマカレーを提供

 

ブルーシートを使ったテント張り

7mもあるブルーシートを使ったテントの設営では、支えとなる竹を運んだりロープを結んで固定したりと、全員で協力しながら力仕事を行いました。

テント設営の様子
ブルーシートを使ったテントを設営
テント設営の様子
力仕事は協力して行う

 

参加者の感想

太陽 社会教育の授業の一環として初参加した就実大学の学生
活動を継続させるためには、活動の目的を伝えて参加者を集めることが大切だと思います。今日は中学生をはじめ参加者が多いことに驚きました。防災の大切さを実感できました。

太陽 町内会の男性
ここは、結束力の強い地域だと思います。意義のある活動を通じて、若い世代と地域がつながりを持てるのは良いですね。

南海トラフ巨大地震を想定した対策 里山から持続可能な社会を考える

今後、30年以内に80%の確率で起こる可能性が指摘されている南海トラフ巨大地震。森の学校のある笠井山・操山から南部は干拓地であり、地震発生時には液状化の危険があるとともに、地震発生から約3時間後には児島湾に約3mの津波が来るとも警告されています。こうした地域性に着目し、2015年より避難地として里山の整備を進め、地域を巻き込んでの防災活動を開始しました。

航空写真
避難所として、高地である里山に着目
倒木を処理
倒木を処理して避難路を整備

 

「地震の話題を耳にする機会も多い昨今、人々の防災意識は一見高いようでいて、まだまだ低いのが現実です」と、代表の石田さんは言います。

【災害に対する地域の安全意識調査】 男性 女性
 安全 14.6% 7.5%
 どちらかといえば安全 29.6% 33.8%

中区富山学区防災アンケート 2017より


「本などで知識を得ることも大事ですが、実体験で地震対策をすることで、いざという時の対応力や判断力を身に付けられます。避難訓練で体験したことを家族で話題にしてもらい、日常生活にも生かしてほしいです」。

また、「私たちの活動は、イベントの告知や運営でお世話になっている富山公民館をはじめ、地域のさまざまな方の協力があってこそ。地域の人が集まり、連携を深める場を作っていけたらと思います」と石田さん。

人の輪を広げて、里山を通じた安全な地域づくりを目指しています。

防災は今後の社会や暮らしにおいて重要なテーマ。里山を地域の安全に生かせる有意義な活動だね!

ESDマンと犬