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第9回ESDカフェ(2015年度)

公開開始日:2016年02月19日

テーマ

ちょうどいい豊かさってどんなもの?~小さなソーラーユニットから考えた持続可能な社会への小さな提案~

開催日時

2016年1月21日(木曜)18時から19時30分

開催場所

環境学習センター「アスエコ」(岡山市北区下石井2-2-10)

講師

岡山大学環境理工学部非常勤講師&ESDコーディネーター
原明子さん
岡山大学ESD実践演習の受講生(2回生)

第9回ESDカフェ
「ちょうどいい豊かさってどんなもの?~小さなソーラーユニットから考えた持続可能な社会への小さな提案~」

第9回ESDカフェの様子
2016年1月21日(木曜)に第9回ESDカフェを開催しました。テーマは「ちょうどいい豊かさってどんなもの?~小さなソーラーユニットから考えた持続可能な社会への小さな提案~」。ゲストスピーカーに、ESDコーディネーターとして活躍し、岡山大学環境理工学部の非常勤講師を務める原明子さんと、原さんが担当するESD実践演習の受講生をお招きして、電気という切り口から持続可能な社会について考えました。


「ESD実践演習」

第9回ESDカフェの様子
持続可能な社会づくりをテーマに、毎年ちがった切り口から授業を展開している岡山大学の「ESD実践演習」。
今回は、「わがや電力」という本を教材に、実際に5万円で作成可能なソーラーユニットを組み立てて、持続可能な社会について「電気」という切り口から考えました。
授業の中で、まず学生さんたちに投げかけられたのは、「電気はどこから来ているでしょうか?」という問い。電気が電柱や電線をつたって家に送られるという仕組みは分かっていても、電気がどこでつくられて、どのように運ばれてくるのか?発電所や変電所などのことまでは意外に思い至らない。学生さんたちは、この問いを通じて「電気を使っているのによく知らない」ということに気づいたそうです。


カンボジアの中学生

ある授業では、現在、岡山の中学校に短期留学しているカンボジア人の中学生3名を招き、現地の暮らしについて話を聴きました。
彼女たちの暮らす村では、2015年に初めて電気が来たばかり。夜は真っ暗。村ではまだ、ごはんを薪で炊く暮らしをしているそうです。学生さんたちは話を聴いて、日本と比べるとカンボジアの生活はとても不便だけれど、逆に電気がなくても心の豊かさがあることに気づかされ、電気の使い方について改めて考える機会になったそうです。


ちょうどいい豊かさって何だろう?

学生さんたちからの発表を受けて、ESDカフェでは参加者全員で「ちょうどいい豊かさって何だろう?」という問いについて考えました。

「『豊かさ』という表現から考えると、我慢するのとはちがって、ある程度の余裕が必要だと思う」
「一晩だったらテレビを見ずに星空を見て過ごせるだろうが、2、3日したらまたテレビが見たくなる。楽しみながらどこまで継続できるかというのが鍵だと思う」
「無駄をなくすということかな」
「ライフステージや家族構成によってもちがうと思う。今は薪を使って生活できるとしても、介護が始まったら電気の方が便利。楽だな、楽しいなと思えるくらい。うまくバランスがとれているのがちょうどいい豊かさなのではないだろうか」
などの意見が出ました。

続いて、学生さんたちが授業の中で議論したことを共有してくれました。
「つらい思いや我慢をしている状況では、豊かであるとはいえない。必要最低限+アルファがあることが大切。例えば、イルミネーションを見て心の豊かさを感じる人もいれば、電気の無駄だと考える人もいる。いろんな答えがあって、国や人によって価値観がちがうので、一つの答えにはまとめることができない、という結論に至りました」


脱出ゲーム

ESD実践演習で、学生さんたちは、より多くの人に電気という切り口から持続可能な社会づくりについて考え、行動してもらうためにはどうしたらよいかについて考えました。
そこで、考えた企画が「脱出ゲーム〜電気を取り戻せ」。子どもから大人に伝える方がより効果的ではないかという理由から、企画の対象を子どもに設定しました。

脱出ゲームは、授業中に突然教室が暗くなり、子どもたちがいくつかのクイズに答えると闇から脱出できるというもの。数日前には、怪盗X(エックス)からの手紙を小学校に送り、子どもたちにワクワク・ドキドキ感を芽生えさせるなどの工夫も凝らしました。
子どもたちからは、「ワクワクした」、「楽しかった」、「明るいのも暗いのもどっちも好き」、「暗くしても意外と楽しかった」、「いつもは明るすぎるのではないか?」という感想があったそうで、いつも当たり前のようにある電気について、改めて考えてもらうきっかけになったようです。


ESD実践演習から学んだこと~学生さんの感想~

原さんのESD実習演習を受講した学生さんたちは、授業の感想を次のように述べていました。


「持続可能性について考えたことがなかった。ソーラーユニットを使った太陽光発電は便利なものだけれど、普及させるためにはもっと勉強しないといけない、周りの人にも知ってもらいたいと思った」
「子どもたちへの伝え方について考えた経験から、誰にどういう形で伝えるのかについて考える大切さに気づいた。ソーラーユニットを使った太陽光発電にも良い面・悪い面があることが分かったので、両面を把握しながらより良い選択をしていきたい。それが持続可能な社会づくりの目指すところなのではないかなと思った」
「持続可能な社会づくりには困難やジレンマがある。科学技術の進歩だけでは実現できない。個人の工夫が必要であり、より多くの人々の共通の意識をつくり上げていくことが大切だと思った。自分だけではなく、周りの人も巻き込んで行けるようになりたい」

学生さんたちは様々な側面から考え、最適なものを選択していくこと。そして、自分一人だけではなく、より多くの人を巻き込みながら持続可能な社会をつくっていくことの大切さを学び、その一歩を踏み出してみようという意欲が生まれたようです。


テンダーさん登場

ESDカフェ当日は、「わがや電力」の著者であるテンダーさんにもお越しいただきました。
テンダーさんは「わがや電力」を書いた理由を、「自分の暮らしが誰かを傷つけていないかを考え、問い直してほしい。そのきっかけをつくりたいと思ったからです」と語りました。

テンダーさんは、1972年に出版された「成長の限界」という本の中に記されていた、「地球を持続させるための条件」として、文明を環境汚染を止めるために活用すること、最貧困+10%の文明レベルに押さえるなどについて教えてくださいました。テンダーさんは、持続可能な社会を実現するためには、「成長のスピード」を緩めることが必要だといいます。

電力だけではなく、水や空気などの自然、自分を取り巻く人々や社会など、現在当たり前にあるものが、これからもずっと続くとは限りません。資源の枯渇や貧富の差の拡大、自然災害の増加など様々な問題を解決しながら、現代を生きる私たちが先代から受け継いだ地球を、未来の世代にも引き継ぐために、当たり前のものを見直し、様々な選択肢の中から選んで行動していくこと。その一人ひとりの心がけと気づき、行動することの大切さを伝えていく社会の担い手づくりとして、ESDがこれからもますます重要になっていくのではないでしょうか?


関連リンク

2014年度第4回ESDカフェでは、「ESD 実践演習」を受講した学生3名が大量生産、大量消費、大量廃棄の問題を解決するために、身近なことから楽しく実践できることについて紹介しました。

お問い合わせ
岡山市市民協働局ESD推進課 小西・流尾
電話:086-803-1351
電子メールアドレス:miki_konishi@city.okayama.lg.jp