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ESD岡山アワード2015受賞者座談会テーマ【4】&【5】

公開開始日:2016年03月03日

【4】現在の課題

ESD座談会の様子
アイコン 浅井さん

「これからも活動を続けるにあたり、直面する課題や不安があるかと思いますが、皆さんの団体ではいかがですか?」

アイコン 大野さん
「学校というところは、一定期間を過ぎると生徒が卒業するだけでなく、教師が転勤することが当たり前の環境です。その中で、地域をコーディネートする後継者を育てる体制を整えることが、現在の課題であると考えています。人を育てるという、学校では当たり前のことが一番の課題ですね。」

座談会の様子

アイコン 池田さん

「すでに京山地区では、人を育てるしくみ自体はできていますが、『プロジェクトが今後も発展する可能性』については、プロジェクトをコーディネートする人の考え方次第で大きく変わっていくのではないでしょうか。現在、プロジェクトの一部をコーディネートできる人はいても、全体を包括的にコーディネートできる人まではいないと思います。
コーディネーターへの負担も考えると、プロジェクトに専念できるように立場と収入をサポートする組織体制をつくることも必要ですが、 そのような制度もありません。ESDを推進する地域のコーディネーターが社会的に認められるようになるには、たくさんの時間と努力が必要だと思います。」

アイコン 江口さん
「シャンティも『人材』という課題を抱えています。
CLCで地域の課題を解決する中で、地域住民が主体となるようにシャンティは黒子に徹しています。 シャンティでは、CLCを開設したら地域住民の手によって運営することができるように、2年間のトレーニングを行います。トレーニング期間が終わると、カンボジアの教育省と地域にCLCを引き渡すというしくみで、2016年がその引き渡しの年にあたります。
トレーニング期間終了後は、地域住民がCLCの運営資金を集めていかなければなりません。そのために、前年度から地域のリーダーが課題を理解して、解決に向けたプロジェクト企画し、予算を見積もり、資金調達の経路を把握し、申請書を作成し、プロジェクトを実践し、評価を行い、改善策を検討する・・・・という一連の仕事をこなせるようになる必要があります。ただ、最貧困地域で育ったリーダーの中には、大人になってから読み書きができるようになった人も多く、彼らだけでCLCを運営できるかというと、かなり厳しい状況にあります。
また2015年7月に、シャンティの取り組みが、カンボジアの教育省の政策となることが決まりました。カンボジアに設置されている300のCLCを、シャンティのCLCと同じシステムで運営するためのマニュアルもつくられています。しかし、カンボジアのCLCで働く職員は、これまで国際的な援助を受けたことがないため、学校の教師に比べてスキルや知識が乏しいといわれています。
彼らが、政府のつくったマニュアルをもとに、シャンティのCLCと同じようにCLCを運営していけるか・・・というと、現状では厳しいと思います。今後は、教育省と各CLCとの打ち合わせにシャンティのスタッフも参加して、より具体的な運営マニュアルをつくらないと、シャンティのシステムをカンボジアのCLCに広げることは厳しいと考えています。以上、2点が、シャンティの抱えている重要な課題です。」

アイコン 池田さん
「ESDを推進するためには、学校のように人材を育てるだけでなく、職業として生計を立てられるようにサポートする制度が必要だと思います。 」

座談会の様子

アイコン 大野さん
「和気閑谷高校では、生徒会が事業を主催することで、教師が転勤になっても生徒間で引き継いでいけるようにしています。そうしないと続かない・・・というのが現状だと思います。」  

アイコン ラーマンさん
「DAMでは、プロジェクトが終了した後のことを見据えて活動しています。例え、DAMによるサポートが終わった後も、地域の人々がプロジェクトで築いたネットワークをいかし、活動を持続させることを何より大切にしています。
そんなDAMの課題は、2つあります。1つ目は、CLCをいかに持続させていくかということです。地域コミュニティと政府のどちらか一方だけにCLCの運営をゆだねてしまうと、運営は持続しないと思います。そこで、地域コミュニティと政府が連携するという経験を積むために、『森林パトロール』などの活動を積極的に行っているのです。 
2つ目は、収入向上を目指して経済活動を支援することです。DAMは、小物や洋服を販売する店舗を経営しており、農村の職人により作られた商品も販売するほか、生産者が十分な収入を得られるようフェア・プライス(公正な価格)のキャンペーンも行っています。また、専門組織を立ち上げて、マイクロファイナンス※を行い、農村の人々の経済活動を支えています。


※マイクロファイナンスとは、低所得者向けの少額金融サービスのこと。少額融資を低利で行い貧困層の自立を支援するもの。

 

【5】今後の展望

座談会の様子

アイコン浅井さん

「事業を持続させるための課題として、人材の育成が共通していることが分かりましたが、他にも資金の問題などが挙げられるかもしれませんね。では最後に、これからの活動の展望を教えてください。」

アイコン 大野さん
「和気閑谷高校の活動は、『学校と商店街』、『学校と観光協会』といった個々の関係がベースとなっており、横のつながりが薄いところもあります。そこで、和気閑谷高校が地域コミュニティの拠点となることで、点と点とのつながりが面に広がっていると思います。
これからは、地域と学校が課題解決に向けて一緒に取り組む共同体制を整え、広げていくことを目指します。ただし、『高校生という立場で実践できること』という枠組みからは、くれぐれも外れないように気をつけたいと思います。
また、2015年からユネスコスクールに加盟する岡山県内の高校のネットワークをつくることができましたので、このネットワークを岡山から国内外に広げていきたいと思います。」

アイコン 池田さん
「2002年のヨハネスブルクサミットで岡山市が提案した資料の最後に、『世界人口の5%が環境保全に参画するキャンペーンを行うことで、社会を変えることができる』と提唱しています。岡山市では、2001年より環境パートナーシップ事業を行っており、1年間で3%の市民が参画しました。一部の人だけが取り組むのではなく、地域の人が主体性を持ち、連携しながら活動しないと社会を変えることはできません。
ESDこそ、国際連合などがリー ダーシップをとって、世界規模のキャンペーンをもっと展開する必要があると思います。もちろん、地域の小さなプロジェクトがつながってネットワークを広げることも重要ですが、世界規模のキャンペーンを通じてESDを推進することにより、地域課題をより広い視野から理解することにつながると思います。 」

アイコン浅井さん
「世界規模のキャンペーンを行うことも大切ですが、地域の小さなプロジェクトがつながって、ネットワークがさらに広がっていく。ESDを推進する上では、そんな広がりも必要不可欠だと思います。」

アイコン 池田さん
「世界規模のキャンペーンとして枠組を整えることで、参画する人のモチベーションも高まるのではないでしょうか。
枠組があることで、世界各地の動きを俯瞰的に把握することができ、社会変革にもつながると思います。」

アイコン 江口さん
「シャンティでは、『地域に根ざした図書館や公民館って何だろう?』という疑問を常に抱えています。
毎日様々な課題と向き合う中で、地域の人々と試行錯誤しながら、地道に取り組んでいく。そうした積み重ねがあるからこそ、今回の『ESD岡山アワード』のような場で評価していただき、シャンティの取り組みが世界に発信されていくのだと思います。同じ分野で活動する団体のヒントになり得るだけでなく、私たちも自信や誇りを持って明日からも頑張っていけるのだと思います。」

座談会の様子
アイコン 市川さん
「35年にもおよぶシャンティの活動を通じて、世界の子どもが抱える課題と、日本の子どもが抱える課題を相対的に捉えることができるようになりました。
かつては、『経済先進国』だった日本が、いつの間に『課題の先進国』になってしまったんだろう・・・と不思議に思うときもありますが、各地域で広がる経済格差が教育格差を生み出し、日本の子どもの生き方にも大きな影響を与えています。世界の子どもが抱える課題と日本の子どもが抱える課題。たくさんの違いはありますが、つなげて考えると新たな解決方法を見出せるのではないかと思います。
日本では、『協働』という形で、団体同士がセクターを越えて連携する事例がたくさんあります。『ESD岡山アワード』で生まれたご縁を通じて、これからも連携していけたらと思います。」

座談会
アイコン ラーマンさん
「今後の展望として、地域レベル、学術レベル、国際レベル、それぞれの視点から考えてみました。
地域レベルでは、学校と地域が連携することで、取り組みの幅が広がっています。
学術レベルでは、大学とCLCが連携することで、CLCの運営に専門的な知識やスキルをいかすことができます。例えば、環境の分野における大学の教授と、環境に配慮したCLCの運営について仕組みをつくったこともありました。
国際レベルでは、具体的なテーマを設定した上で、世界各国の人が一緒に考え、取り組むことが重要です。例えば、2015年11月にイギリスのとある大学で開催されたフォーラムでは、『女性の識字』をテーマに様々な国の人がディスカッションを行い、解決策を探りました。幅広い分野を包括的に考えるESDでは、具体的なテーマを設定することで、いろんな国の人が話し合いに参加できるようになると思います。」

アイコン浅井さん
「ESDを世界に広めるためには、地域の小さなプロジェクトがつながることも重要ですが、非常に長い時間を必要とします。
小さなプロジェクトがつながることで、やがては地域と世界がつながっていく。
そんなネットワークが広がることこそ、ESDを通じて世界を変えることにつながると思います。今回の座談会を通じて生まれたネットワークも、その一つ。今後も広がっていくことを願います。本日はありがとうございました。」



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