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ESD岡山アワード2015受賞者座談会テーマ【2】&【3】

公開開始日:2016年02月24日

【2】地域のニーズをつかむ

座談会の様子
アイコン 浅井さん
地域のニーズを満たすために、皆さんの団体ではどんなことに取り組んでいますか?

アイコン 江口さん
シャンティがカンボジアで運営している5つのCLCでは、事業の大枠は同じでも、各地域のニーズに沿って事業の細かい内容を変えています。

絵地図分析の様子絵地図分析の様子
農業研修の様子CLCで実施した農業研修


ニーズを把握するために実施しているのが、「絵地図分析」です。まず地域の人たちに集まってもらい、「CLCで何をしたいか」、「自分たちの暮らす地域はどんな問題を抱えているか」、「この地域の幸せとは何か」という3つのテーマをもとにディスカッションを行い、そこで出された意見をもとに、地域の絵地図を描いてもらいます。地域の抱える問題について言葉で話すと暗い雰囲気になってしまいがちですが、絵で表現することでポジティブに捉えられるようになります。その絵地図を分析することで、地域のニーズや問題を俯瞰的に把握し、解決方法を検討・実施することができます。
農村部が大半を占めるカンボジアでは、「農業に関する知識を知りたい」、「農法を知りたい」という声が一番多く挙がります。シャンティには農業の専門家がいないため、農業の分野で活動しているNGOと連携して研修を行っています。このように、地域のニーズに合わせて協働するパートナーを見つけ、プロジェクトを企画・実施しています。

アイコン 池田さん
2002年に「総合的な学習」が学習指導要領に加わったとき、京山地区にある学校の先生たちから「地域に開けた学びの場をつくりたい」という相談を受けました。ちょうどその時、町内会の役員の方々も、「もっと多くの人が地域の活動に参加してほしい」という思いを持っていたため、学校のニーズと地域のニーズがマッチすることが分かりました。
さらに、京山公民館も「地域の人々にもっと利用してもらうためにはどうしたら良いか」という悩みを抱えていたため、それぞれのニーズや課題をつないで、一つの形にしていきました。そうして、京山公民館を拠点に学校と地域が連携する取り組みが始まり、現在の「京山地区ESDプロジェクト」の前身となりました。
まずは、誰でも参加しやすい「環境」の分野から活動を始め、ネットワークを築いていきました。一度、ネットワークを築くことができれば、どんどん他の活動にも広げていくことができるので、活動の初期段階におけるテーマ選びやネットワークづくりが重要なポイントになると思います。

アイコン 大野さん
和気閑谷高校では、まず最初に教師が地域に出かけて、地域の中にあるニーズや課題を見つけて企画を立てていましたが、現在では生徒が情報収集を行い課題解決に向けて取り組む形に進化しています。京山地区ESDプロジェクトと同じように、初期段階の準備が重要で、私たちは地域への協力呼びかけや受け入れ体制を整えてから、地域に生徒を送り出すようにしていました。
実は、和気閑谷高校に通う生徒の中で、和気町出身の子は約30%しかいません。高校を卒業後、県外に進学や就職をしても、いずれは高校時代を過ごした和気町や生まれた町に戻って、活性化のために活動する子が増えること。それこそが、和気閑谷高校の事業が目指すゴールだと思います。

アイコン ラーマンさん
DAMでは、地域コミュニティの中で住民や政府関係者が集まって話す場をつくることで、地域のニーズを把握・共有しています。また、住民がDAMのプログラムを評価し、その結果をDAMの企画に反映するようにしています。この評価制度を通じて批判を受けることもあり、実施するには謙虚な姿勢や勇気が必要となります。しかし、DAMが住民の声を柔軟に受け入れることで、住民もDAMの運営に積極的に関わるようになるだけでなく、信頼関係を築くことにつながるのだと思います。


【3】ESDの視点を活動に取り入れたことで、地域に起こった変化

アイコン 浅井さん
「団体の活動にESDの視点を取り入れたことで、地域や活動にどんな変化が起こりましたか?」

座談会の様子
ラーマンさん

アイコン 池田さん
地域コミュニティを運営するルールやしくみに対して、地域の人々が積極的に意見を出し、その声が反映されるようになったことだと思います。例えば、町内会のルールやしくみは何年も変わることなく、一部の人だけが関わるものだと思われていたようです。しかし、京山地区ESDプロジェクトを通じて、「自分たちの地域は自分たちで変えていける」という意識が広がっただけでなく、地域の人々の声を実現するしくみも整ってきており、地域の人々の主体的な活動も増えています。


アイコン 大野さん
和気閑谷高校の生徒たちは、ESDの視点を取り入れた活動を通じてコミュニケーション能力や実行力などを身につけています。その変化を生徒自身が一番実感しているようで、以前は「楽しかったー」だけで終わっていた感想が、「どのような点から課題を見出し、次回はいかに改善するか」という意見が盛り込まれるようになりました。


地域の会議に生徒も参加し、積極的に意見を出した
地域の会議に生徒も参加し、積極的に意見を出した

また、高校に対する地域の見方も変わってきています。地域の人々は祭りの会場となることの多い小中学校に比べ、高校に対して「入りづらい」・「敷居が高い」というイメージを持っていたようです。活動を広げることによって、「地域の行事に参加しないか」と声をかけてもらえることが増えました。それも人手不足だからという理由ではなく、「一緒に考えてつくっていこう」という気持ちから声をかけてもらえるようになったと思います。

アイコン 江口さん
シャンティでは、CLCを運営している地域コミュニティが、「実践する共同体」になってきたと思います。
カンボジアの教育省では、2015年からESDの視点を教育指針に取り入れるようになったので、私もESDについて改めて見直しました。そこでシャンティが大事にしてきた「長期にわたって地域に寄り添い、プロジェクトを進めていく」という姿勢は、まさに「ESDだったんだ!」ということに気づいたのです。さらに、ESDの視点からプロジェクトを見直すことで、活動を多角的に、理論的に考えることができるようになったと思います。

またシャンティでは、CLCの運営において「自由な空気感をつくる」ことを何より大切にしています。それはつまり、「CLCでは、自分の得意なことや好きなことを実践できる」という意識を地域住民に広める工夫です。自分の得意なこと、好きなことが自由に実践できることで、リーダーとして活躍したり、それぞれの知識や技術を互いに教えるようになっていきました。外部から農業などに関する専門家を呼ぶこともありますが、ただ知識や技術を教わるのではなく、「内部の人を育成する」ことを目的に実施するようにしています。内部で多様な専門性を持つ人が育ち、お互いに知識や技術を教えあうことが、持続可能な地域づくりにつながっていくと考えています。
さらに、シャンティが運営しているCLCでは、読み書きができない大人に対し、子どもが本を読みきかせることがあります。シャンティを立ち上げた当初は、「大人が教育の大切さを学び、自分の子どもに対して教育を行うようになる」ことを目指していましたが、その逆の流れは、私たちも想像していなかったことでした。私たちが、CLCにおいて「自由な空気感をつくる」ことを大事にしていたからこそ、それぞれの地域が「実践する共同体」に進化し、カンボジアの教育省のモデル事例にも指定されるようになったのだと思います。

アイコン ラーマンさん

森林パトロールに地域住民も参加している
森林パトロールに地域住民も参加している

地域に変化が起こった事例として、DAMの森林パトロールが挙げられると思います。
以前は、政府関係者だけが森林保全に取り組んでいましたが、森林パトロールという形で地域住民も参加できるように仕組みを変えました。このことにより、地域住民の中で「自分たちの森林を自分たちで守っている」という意識が広がり、許可なく木を伐採してしまうことを防いでいます。またDAMの取り組みにより、生計を立てる方法や収入向上につながる経済活動も変わりました。それまでは川から魚をとってきたり、山から木を切り出したりすることで生計を立てていた人たちが、現在はCLCで農業に取り組むなど、生物多様性を大きく破壊しない方法で収入を得るようになりました。


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